香川の郷土料理「まんばのけんちゃん」の正体|由来と絶品レシピ
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初めて耳にした人の大半が「まんばさん家のけんちゃん?」と聞き返してしまうほど個性的な名称ですが、言葉を分解すると先人たちの暮らしと食文化の歴史がはっきりと見えてきます。
まず前半の「まんば」とは、香川県で栽培されてきたアブラナ科の高菜の地方名です。大正時代から昭和初期にかけて福岡県から導入された「三池高菜」などの品種が定着したとされ、寒風吹きすさぶ晩秋から春先にかけて大ぶりな葉を広げます。外側の葉から順に摘み取って収穫しても、中心から次々と新しい葉が「万の葉(万葉)」のように生え出てくることから「まんば」と呼ばれるようになりました。農林水産省が選定する「うちの郷土料理」の記録にも、冬場に青菜が不足する瀬戸内の気候において、次々に収穫できる貴重な葉物野菜として重宝されてきた背景が記されています。
後半の「けんちゃん」は、鎌倉時代に中国から伝来した精進料理「けんちん(巻繊)」がルーツです。細かく刻んだ根菜や豆腐をごま油で炒めて煮込む「けんちん汁」の調理法が民間に広まり、讃岐の日常会話の中で愛着を込めて語尾に「ちゃん」が添えられ、「けんちん」が「けんちゃん」へと変化しました。すなわち「まんばのけんちゃん」とは、「まんばの葉を使って作ったけんちん風の炒め煮」を意味する、きわめて合理的かつ温かみのあるネーミングなのです。