なぜ巨石神殿は動いた?アブシンベルの謎と光の奇跡を徹底解剖

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アブシンベルには、並び立つ2つの岩窟神殿が存在します。南側に位置する「大神殿」はラムセス2世自身が太陽神ラー・ホルアクティや守護神アメン・ラー、プタハ神、そして神格化された自分自身のために建立したものです。正面にそびえる高さ約20メートルの4体のラムセス2世巨像は、圧倒的なスケールで訪れる者を平伏させます。一方、北側に寄り添う「小神殿」は、ラムセス2世の正妃である王妃ネフェルタリと愛と美の女神ハトホルに捧げられた神殿です。

古代エジプトの彫刻において、王妃の像はファラオの膝元に小さく配置されるのが厳格な慣例でした。しかし、アブシンベル小神殿の正面に刻まれた6体の立像のうち、2体のネフェルタリ像はラムセス2世像とまったく同じ高さ(約10メートル)で彫り出されています。これは歴代ファラオの建造物でも極めて異例の扱いであり、ラムセス2世がネフェルタリに対して抱いていた並外れた敬意と愛情の深さを物語っています。

比較項目アブシンベル大神殿アブシンベル小神殿編集部の見解・注目ポイント主祭神・対象ラー・ホルアクティ、アメン・ラー、プタハ、神格化されたラムセス2世愛の女神ハトホル、ネフェルタリ王妃国家神威の誇示と私的な情愛という対比が明確に現れている。ファサード(正面)高さ約20mのラムセス2世座像×4基(左から2番目は古代の地震で崩壊)高さ約10mの立像×6基(ラムセス2世×4、ネフェルタリ×2)小神殿で王と王妃が同列の大きさで刻まれている点は古代美術史上の例外。内部レリーフの特徴カデシュの戦い、戦車を駆る勇姿、敵を打ち据える軍事宣伝女神へ香を捧げるネフェルタリ、ハトホル柱、優美な儀礼画内部保存状態は極めて良好。色彩が残る壁画の繊細さは必見。奥行き・規模約63m(大列柱室、前室、至聖所)約21m(ハトホル列柱室、至聖所)大神殿の奥深さは天文学的設計と直結している。

アブシンベル神殿の内部レリーフにおける圧巻は、大神殿の大列柱室北壁に描かれた「カデシュの戦い(紀元前1274年頃)」の戦闘記録です。ヒッタイト軍の挟撃を受けながらも孤軍奮闘し、戦車(チャリオット)を駆って敵陣を蹴散らす若き日のラムセス2世の姿が、躍動感あふれる彫刻で描写されています。ヌビアの先住民族や南部国境への威嚇という政治的宣伝(プロパガンダ)の役割を担っていたことが、細部のレリーフからも読み取れます。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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