突然襲う血圧低下と息苦しさ!心臓が窒息する緊急病態のサイン
突然襲う血圧低下と息苦しさ!心臓が窒息する緊急病態のサインの全体像を丁寧に掘り下げてご紹介します。
正常な状態でも、心臓と心膜の間には約15〜50ミリリットルの潤滑液が存在し、心臓の拍動による摩擦を防いでいる。しかし、外傷、大動脈解離、急性心膜炎、あるいは悪性腫瘍の浸潤などによって、このスペースに異常な心嚢液貯留が発生する。
問題となるのは液体の「量」だけではない。蓄積する「スピード」こそが致死性を左右する。数週間から数カ月かけてゆっくりと溜まる場合、心膜が徐々に引き伸ばされるため、1リットル以上の液体が溜まっても直ちにショックには至らないことがある。一方で、外傷や血管破裂によってわずか100〜200ミリリットルの血液が数分のうちに心膜内へ流れ込んだ場合、伸びきらない強靭な線維性心膜が心臓を内側へ激しく押し潰してしまう。
右心房や右心室のような壁の薄い腔が真っ先に押し潰され(拡張期虚脱)、肺から酸素を受け取った血液を全身へ送り出すルートが完全に遮断される。これが、あっという間に心停止を招くメカニズムである。