主訴とは?愁訴や現病歴との違いからSoap記録・カルテ例文まで徹底解説

主訴とは?愁訴や現病歴との違いからSoap記録・カルテ例文まで徹底解説の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

医療現場において「主訴(Chief Complaint:略称CC)」は、患者が受診するに至った最も主要な動機・訴えを指します。厚生労働省の「医師臨床研修指導ガイドライン」や医学教育モデル・コア・カリキュラムでも、医療面接の最優先項目として位置づけられています。原則として「患者自身の表現(生の声)」を尊重し、医療者が勝手に医学用語へ変換せず、1〜2つの簡潔な文章で記録するのが鉄則です。

しかし、日々の臨床では似た響きを持つ用語との混同が頻発します。最も混同されやすい概念との境界線を整理します。

まず「愁訴(しゅうそ)」との違いです。愁訴は、患者が自覚している主観的な苦痛や不快感全般を意味します。「だるい」「頭が重い」「眠れない」といった無数の訴えすべてが愁訴です。その多様な愁訴群の中で、患者が「今日、病院に来ざるを得なかった決定打」となる最大の訴えを1つ(多くても2つ)選び出したものが「主訴」です。また、器質的な異常が見当たらないにもかかわらず多様な症状を訴え続ける状態は「不定愁訴」と呼ばれます。

次に「副訴(ふくそ)」です。主訴が受診の第1理由であるのに対し、副訴はそれに付随する第2、第3の訴えを指します。例えば、「3日前からの激しい胃痛」で受診した患者が、「そういえば1週間前から少し微熱もある」と付け加えた場合、胃痛が主訴、微熱が副訴となります。

そして最もカルテ記載で混乱を招くのが「現病歴(History of Present Illness:略称HPI)」との区別です。主訴が「点(今ここにある最大の訴え)」であるのに対し、現病歴は「線(その訴えがいつ始まり、どのように変化し、現在に至ったかという時間的経過)」を記述します。主訴に発症時期や経過を長々と盛り込んでしまうのは、初学者が陥りやすい典型的な記録ミスです。

項目詳細・数値データ一般的な基準・相場編集部の見解・評価主訴(CC)受診の主たる理由(原則1項目、多くて2項目)15〜40文字程度の端的な要約文患者自身の言葉(生の声)を引用符で残すのが理想。愁訴・不定愁訴自覚的な苦痛・不快感の総称(複数存在が常)患者1人あたり平均3〜6個の自覚症状診断がつかない漠然とした訴えもすべて包含する包括的概念。副訴主訴に次ぐ第2・第3の副次的な自覚症状通常1〜3項目を列挙鑑別診断の重要な手がかりとなるため主訴と併記が必須。現病歴(HPI)主訴の発症から受診までの時系列ストーリー時系列順(発症時期・性状・寛解増悪因子)主訴を時間軸で展開したもの。主訴欄に経過を詰め込まない。
高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest