アラジンの舞台はどこ?架空の都アグラバーのモデルと原作中国の真相

アラジンの舞台はどこ?架空の都アグラバーのモデルと原作中国の真相とはどのようなものなのか? 背景や要点を丁寧に紐解いて紹介します。

ネット上の掲示板やSNSでは、定期的に「アラジンの舞台はどこなのか」「なぜ服装やダンスがボリウッド調なのか」といった論争が巻き起こります。こうしたファンの声に対し、制作現場は時代とともに極めて自覚的なアプローチを採るようになりました。

1992年のアニメ版公開時、冒頭曲『アラビアン・ナイト』の歌詞に含まれていた「耳を切り落とす野蛮な土地」といった表現に対し、米アラブ反差別委員会(ADC)から強い抗議が寄せられ、ソフト化の際に歌詞が差し替えられた経緯があります。単一のステレオタイプで「アラブ」を描くことへの批判は、ディズニーにとって長年の課題でした。

これに対し、ガイ・リッチー監督が指揮を執った2019年の実写映画版では、徹底した現場取材と舞台設定の再構築が行われました。

最大の特徴は、中東ヨルダンの世界自然遺産「ワディ・ラム」およびペトラ周辺地域での大規模な実地ロケーション撮影です。「月の谷」と呼ばれる赤褐色の広大な砂漠や奇岩群は、スタジオのCGでは決して再現できない圧倒的な物質感を映画にもたらしました。現地撮影中、アラジン役のメナ・マスード(エジプト出身のカナダ人俳優)やウィル・スミスが「砂漠の風と光そのものがキャラクターに命を吹き込んでくれた」と公式インタビューで述懐した通り、本物の風土が持つ説得力が画面に宿っています。

さらに実写版のアグラバーは、アニメ版の内陸砂漠都市から「東洋と西洋を結ぶ国際的な海洋シルクロードの港湾都市」へと設定が拡張されました。ジャスミン役にはインド系イギリス人のナオミ・スコットが抜擢され、衣装や舞踏にはアラブ伝統文化のみならず南アジア(インド)やペルシャの華麗な要素を積極導入。かつて「無差別な混同」と批判された多国籍性を、逆手に取って「交易によって繁栄した豊かなコスモポリタン都市」という必然性へと昇華させたのです。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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