Jr九州デザイナー水戸岡鋭治の現在と引退の真相|ななつ星の哲学
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水戸岡鋭治氏は1947年、岡山県に生まれました。高校の木工科を卒業後、ミラノのデザイン事務所や家具設計などを経て、1972年に東京で「ドーンデザイン研究所」を設立します。本来の出自は鉄道工学や車両デザインではなく、グラフィックや建築、家具などの空間デザインでした。その出自こそが、従来の鉄道界の固定観念を打破する最大の原動力となります。
転機が訪れたのは1980年代後半、国鉄民営化によって誕生したばかりのJR九州からのオファーでした。福岡都市圏で運行予定だった特急「ハイパーサルーン」の改修デザインを打診された水戸岡氏は、「既存の国鉄規格に囚われたままでは誰も振り向かない」と、従来の鉄道車両ではタブー視されていた鮮烈な原色使いやパノラマ窓を提案。当時の国鉄技術者たちと激しい議論を戦わせながらも、利用客から絶大な支持を獲得します。
その後、1992年に登場した787系「つばめ」が世界的な鉄道デザイン賞「ブルーリボン賞」や「ブルネル賞」を受賞したことで、水戸岡デザインの評価は決定的なものとなりました。当時の特番インタビューで水戸岡氏は「鉄道車両を作るのではなく、親しい友人を招く心地よい居場所を作りたいだけだった」と述懐しています。職人技が光る木製ルーバーや本革シート、共用サロンなど、徹底して人間味を宿らせる手法は、やがてJR九州全体のアイデンティティとなっていきました。