ムトウハップとは?突如消えた劇的入浴剤の真相と代替品の現在

ムトウハップとは?突如消えた劇的入浴剤の真相と代替品の現在の詳細について、分かりやすい解説を取りまとめてご紹介します。

ムトウハップ(漢字表記:六一〇ハップ)とは、愛知県名古屋市に本社を置いていた武藤鉦製薬(むとうしょうせいやく)が製造・販売していた、多硫化生石灰(多硫化カルシウム)を主成分とする外用液剤です。その歴史は古く、創業者の武藤鉦八郎氏が開発し、1927年(昭和2年)の発売開始から約80年にわたり日本人の肌トラブルと入浴文化を支え続けました。「六一〇」という名称は、開発者である「武藤(むとう)」の名前にあやかって命名されたと伝えられています。

最大の特徴は、原液が濃い赤橙色または黄色みを帯びた液体でありながら、家庭の浴槽にキャップ1〜2杯程度を投入して攪拌すると、化学反応によって瞬時に白濁した硫黄泉へと変貌する点にありました。自宅にいながら草津や別府のような本格的な湯治場の泉質を再現できる手軽さから、一般家庭の入浴剤としてはもちろん、湯治を目的とする愛好家からも熱烈な支持を集めていました。

当時の薬事法上、医薬品(のちに第2類医薬品)または医薬部外品として認可されており、単なるリラクゼーション用入浴剤とは一線を画すムトウハップ効果効能が認められていました。公認されていた効能は以下の通り多岐にわたります。

  • あせも、湿疹、ただれ、かゆみ
  • にきび、水虫、疥癬(かいせん)、たむし等の寄生性皮膚疾患
  • 神経痛、リウマチ、関節炎、冷え症、痔、疲労回復

特に夏季に猛威を振るうムトウハップ皮膚病あせもへの鎮静効果は折り紙付きで、昭和から平成初期にかけては皮膚科医自らが「薬局でムトウハップを買ってお風呂に入れなさい」と指導することも珍しくありませんでした。強い殺菌力と角質軟化作用、そして皮膚を保護する硫黄被膜の形成により、赤く爛れた子どものあせもが一晩で劇的に引いたという体験談は、当時の親世代の間で広く共有されていたのです。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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