男性脳・女性脳診断画像は本当?だまし絵の真相と錯視の科学的根拠

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かつて世界的なベストセラーとなった書籍『話を聞かない男、地図が読めない女』(アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ著)は、「男性は空間認識に優れ、女性は言語と共感に優れる」というわかりやすい図式を世界中に浸透させました。Web上にある3択・30問形式の無料診断テストの多くも、この時代のフレームワークを直接的に下敷きにしています。 しかし、男性脳女性脳科学的根拠真相を追究する現代の認知神経科学において、この極端な二元論はすでに過去の遺物と見なされています。 イスラエルのテルアビブ大学教授であるダフナ・ジョエル(Daphna Joel)博士らが2015年に米科学アカデミー紀要(PNAS)で発表した画期的な研究では、1,400人以上の脳のMRI画像を詳細に解析しました。その結果、脳の各部位の大きさや結合パターンにおいて、「すべてが典型的男性パターン」または「すべてが典型的女性パターン」を持つ個人の割合はわずか0%〜8%未満に過ぎないことが明らかになりました。 大半の人間の脳は、ある領域は男性的な統計値に近く、別の領域は女性的な統計値に近いという、複雑なモザイク状の構造(脳モザイク説)を持っています。つまり、世の中に存在する脳は「男性脳」「女性脳」という2本のレールに分かれているのではなく、無数のグラデーションが存在しているのです。 また、空間認識能力違い理由についても、かつてはテストステロンなどの性ホルモンだけが決定打と語られていましたが、現代の教育心理学では環境的要因や経験の蓄積が極めて大きいことが実証されています。幼少期のブロック遊びや地図アプリの操作頻度、スポーツの経験値によって頭頂葉の神経ネットワークは柔軟に再構築(神経可塑性)されるため、生まれつきの性別だけで空間認識の優劣が決まるわけではありません。 さらに、左右脳診断見え方において語られがちな「右脳=直感・芸術・女性的」「左脳=論理・言語・男性的」という図式も、神経科学の世界では確立された定説ではなく、過度に単純化されたニューロミス(神経神話)に分類されています。健康な人間の脳は、左右の半球が脳梁を通じて常に毎秒数十億回の相互通信を行っており、片方の半球だけで独立して思考することはありません。

山田 真由

山田 真由

自動車・モビリティライター

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。

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