但馬屋珈琲店本店の現在地|喫煙・混雑・ネルドリップの真価を解剖

但馬屋珈琲店本店の現在地|喫煙・混雑・ネルドリップの真価を解剖の全体像を詳しく解説してご紹介します。

新宿駅西口を出てすぐ、赤提灯が揺れる思い出横丁の角に構える但馬屋珈琲店 本店。その重厚な木製扉をくぐると、JR線の喧騒や雑踏の音はすっと遠のき、クラシック音楽と深煎り豆の香ばしい薫香が身体を包み込みます。店内に一歩足を踏み入れれば、そこには飛騨高山の古民家から移築された太い梁や、使い込まれた漆塗りのカウンターが広がり、まさに新宿の純喫茶レトロの象徴と呼ぶにふさわしい光景が広がっています。

創業は前回の東京五輪が開催された1964年。当時は「純喫茶エビス」としてスタートし、後に現在の屋号へと改められました。新宿西口周辺では現在、超高層複合ビルの建設やターミナルの大規模再編が進行していますが、この店は60年以上変わらぬ風格を保ち続けています。内装に施された民芸調の意匠は、創業者の「都会の真ん中に、日常の緊張を解きほぐす隠れ家を創りたい」という執念から生まれたものです。

カウンターの壁一面に整然と並ぶのは、世界各国から集められた300客以上の高級陶磁器カップです。大倉陶園、有田焼、マイセン、ウェッジウッド、ロイヤルコペンハーゲンなど、名窯の逸品がずらりと並ぶ光景は圧巻の一言。取材時にカウンターに立った熟練バリスタは、次のように語ってくれました。

「お客様の佇まいやその日の服装、漂う雰囲気から直感でカップを選んでお出ししています。珈琲の温度が唇に触れる瞬間の感触まで含めて、一杯の体験として味わっていただきたいのです」

単に珈琲という飲料を消費する場ではなく、歴史の重みと手仕事の温もりに触れる儀式のような時間が、デジタル化に疲弊した人々を惹きつけてやみません。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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