フジテレビと産経新聞の歪な資本関係|なぜテレビが親会社なのか?

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フジテレビと産経新聞の歴史は、順風満帆な統合によって始まったわけではありません。発端は1958年の産経新聞経営危機に遡ります。

大阪の新聞王と呼ばれた前田久吉氏が創業者として率いていた産経新聞社は、無理な東京進出と全国紙化への過剰投資が祟り、莫大な負債を抱えて破綻寸前に追い込まれました。この未曾有の危機を救うため、財界の意向を受けて再建の舵取り役として送り込まれたのが、財界四天王のひとり・植村甲午郎氏の側近であり、ニッポン放送の専務を務めていた鹿内信隆氏でした。

信隆氏は見事に産経新聞の再建を果たし、1967年には産経新聞社、ニッポン放送、フジテレビの3社を中核とする「フジサンケイグループ」を結成。自ら初代議長に就任しました。これが、日本初のメディア合同体「フジサンケイグループ」の誕生です。その後、信隆氏の長男・鹿内春雄氏、次男・鹿内宏明氏へと権力が継承され、メディア界における「鹿内一族による私塾的支配」が定着していきました。

しかし、このグループ形成時に、後々まで尾を引く決定的な歪みが埋め込まれました。それが世に言う「資本のねじれ現象」です。当時のフジサンケイグループは、設立の資本金規模の都合から、次のような奇妙な持ち合い構造をとっていました。

「売上規模の小さいラジオ局(ニッポン放送)が、売上規模が遥かに大きいフジテレビの筆頭株主(約22.5%保有)であり、そのニッポン放送の株を鹿内家や産経新聞社などのグループ企業が分散保有して支配権を維持する」という、まさに“子が親を支配する”ような入れ子構造でした。この歪んだガバナンスの盲点を強烈に突いたのが、2005年に日本中を震撼させたライブドアによるニッポン放送買収劇でした。

当時、堀江貴文氏率いるライブドアは、東証マザーズ市場の夜間時間外取引を利用してニッポン放送の株式を急激に買い増し、過半数に迫るシェアを一時掌握。「ニッポン放送を乗っ取れば、巨大なフジテレビの実質的経営権が手に入る」という資本のねじれの弱点を白日の下に晒したのです。最終的にホワイトナイト(白馬の騎士)としてソフトバンク系列のSBIが介入し、フジテレビがニッポン放送を完全子会社化するTOBを実施して事態は収拾されましたが、この教訓が決定打となり、2008年、日本初となる認定放送持株会社「フジ・メディア・ホールディングス」の設立へとつながりました。この再編によってねじれは完全に解消され、現在の「FMHが産経新聞社を傘下に抱える」強固なピラミッドが完成したのです。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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