橘の花言葉に怖い意味はある?追憶と花嫁の喜びに秘められた真相
橘の花言葉に怖い意味はある?追憶と花嫁の喜びに秘められた真相の真相や最新動向に迫る! わかりやすい言葉でまとめました。
橘を語る上で欠かせない花言葉「追憶」。この美しい言葉のルーツは、平安時代初期に編纂された勅撰和歌集『古今和歌集』(巻第三・夏歌)に収められた、あまりにも有名な詠み人知らずの一首にあります。
「五月(さつき)待つ 花橘の 香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする」
旧暦5月(現在の初夏、6月頃)の訪れを待って咲いた橘の花の香りをかぐと、かつて親しく愛し合ったあの人がまとっていた薫物の香りが鮮やかによみがえってくる――。平安貴族たちは、衣服に香を焚き染める習慣がありました。初夏の風に乗って漂う柑橘の芳香は、失われた時間や遠い日の恋人を脳裏に引き戻すトリガーとして、日本人の情緒に深く刻み込まれたのです。
現代の心理学では、香りがダイレクトに情動や古い記憶を呼び起こす現象を「プルースト効果」と呼びますが、千年以上も前の日本人は、花橘の香気を通してすでにこの心の機微を鋭敏に捉えていました。橘の「追憶」とは、悲痛な未練ではなく、過ぎ去りし佳き日々を慈しむ、極めて雅やかな追悼と敬愛の感情から生まれた言葉なのです。
もう一つの代表的な花言葉である「花嫁の喜び」は、西洋におけるシトラス(オレンジ)の花の風習が近代以降に融合したものです。ヨーロッパでは、常緑で花と実を同時につけるオレンジが「純潔」「子孫繁栄」「変わらぬ愛」の象徴とされ、花嫁のブーケや冠に用いられてきました。日本固有の柑橘である橘もまた、冬でも青々とした葉を落とさない常緑樹(トキワギ)であることから、永遠の貞節と晴れの門出を祝う花言葉として定着した経緯があります。