消えたギザギザシフトの謎!ゲート式が激減した理由と2026年の現在地

今注目を集めている 消えたギザギザシフトの謎!ゲート式が激減した理由と2026年の現在地について、詳しいまとめをご紹介しています。

かつてのオートマチック車(AT車)のセンターコンソールに刻まれていた、階段状の複雑な溝。なぜストレートではなく、あえてクランク状に曲げたギザギザ構造を採用したのか――その答えは、人間工学に基づいた誤操作防止メカニズムにあります。

この機構のオリジンは、ドイツの高級車メーカーであるメルセデス・ベンツが開発し、特許を取得した「スタッガード・ゲート(Staggered Gate)」に遡ります。1960年代から1970年代にかけて同社が実用化したこの設計は、ドライバーが前方から視線を外すことなく手元の感覚だけで正確なポジションを選べる「ブラインドタッチ」の実現を目的としていました。

従来の「ストレート式」は、P(パーキング)からD(ドライブ)、さらには2速やL(ロー)まで一直線にレバーがスライドします。直線的な動きは操作が容易な反面、レバーを勢い余って引きすぎたり、誤ってリバース(R)に入ってしまったりする危険を孕んでいました。そのためストレート式では、レバー側面の解除ボタンを押しながらでないと動かないロック機構を組み込むのが一般的でした。

これに対し、ゲート式は「右へ倒して下へ引く」「左へスライドさせて前へ押し出す」といった立体的な軌道を描きます。走行中に最も頻繁に使う「N(ニュートラル)」「D(ドライブ)」、そしてエンジンブレーキを使う段へと切り替える際、あらかじめ物理的な壁(段差)が立ちはだかる構造になっています。視覚に頼らずとも、手首の曲げ伸ばしとレバーが壁に当たる手応えだけで、ドライバーは「いま確実にDレンジに入った」と確信できるのです。

1989年に登場した初代トヨタ・セルシオ(初代レクサスLS)がこの構造を大々的に取り入れると、「カチッ、カチッ」と小気味よく決まる節度感と高級感あふれる意匠が日本のドライバーを瞬く間に魅了しました。その後、トヨタのゲート式ATはクラウンやマークII、エスティマ、さらにはカローラクラスにまで波及し、平成の日本車インテリアを象徴するスタンダードへと君臨していきました。

石川 優花

石川 優花

インテリア&ライフスタイルコーディネーター

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。

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