医学博士とは?医師との違いや意味ない説の真相、取得ルートを徹底解剖
医学博士とは?医師との違いや意味ない説の真相、取得ルートを徹底解剖について押さえておきたい ポイントを分かりやすい構成で解説いたします。
根本的な誤解として最も多いのが、医学博士と医師の違いです。医師とは、厚生労働省が実施する医師国家試験に合格し、医業を行うことを法的に認められた「国家資格」を指します。患者を診察し、検査をオーダーし、薬を処方し、手術を執刀できるのは、医師免許を持つ者だけの特権です。
対する「医学博士」は、大学院医学系研究科などで高度な研究を行い、学術的に価値のある博士論文を提出・承認された研究者に授与される「学術称号(学位)」に過ぎません。極論を言えば、医学博士号を持っていても医師免許がなければ、聴診器を当てることも採血することも違法(医業停止・医師法違反)となります。
そして一般にはあまり知られていませんが、医師免許なしで医学博士を取得するルートは正規の進路として完全に確立されています。創薬科学を専攻する薬学部出身者、分子生物学や遺伝子工学を研究してきた理学部出身者、生体材料や人工知能を開発する理工学部出身者などが、医学系大学院の博士課程に進学し、基礎医学講座(薬理学、病理学、免疫学、医療情報学など)で卓越した研究成果を挙げて学位を取得するケースは珍しくありません。
また、国際的な視点で注意すべきなのが医学博士の英語表記MDとPhDの違いです。日本の医学部(6年制)を卒業すると得られる学位は国際標準で「MD(Doctor of Medicine / 医学士に相当するプロフェッショナル学位)」とみなされます。一方、大学院で研究を行って取得する医学博士は「PhD(Doctor of Philosophy / 学術博士)」です。欧米の学会や国際論文において、研究実績を持つ日本の医師が名刺や論文著者欄に「Taro Yamada, MD, PhD」と併記するのは、臨床医の資格(MD)と独立した研究者の学位(PhD)を両方保持している事実を証明するためです。