高力ボルトとは?普通ボルトとの決定的な違いと摩擦接合の全貌
高力ボルトとは?普通ボルトとの決定的な違いと摩擦接合の全貌の詳細について、分かりやすい解説を基に徹底解説します。
高力ボルト(高張力ボルト、通称ハイテンションボルト)とは、熱処理を施した高強度鋼を用いて製造され、極めて高い引張力を導入して使用される構造用締結部材です。鋼構造建築物の接合部において、従来の溶接接合と並ぶ最重要工法として位置づけられています。
ホームセンター等で流通している「普通ボルト(中ボルト)」との最大の違いは、材料強度そのものにとどまらず、「荷重をどの物理現象によって伝達しているか」という構造メカニズムの根本的な差異にあります。
普通ボルトは、母材に開けられたボルト孔(通常1〜2mm程度のクリアランスがある)の側面にボルトの胴体(軸部)が直接押し付けられる「支圧接合」や、ボルトを切断しようとする力に抵抗する「せん断接合」で力を受け止めます。そのため、部材に力が加わった瞬間にボルト孔の隙間分だけ接合部がわずかに滑り、繰り返しの揺れによって孔が塑性変形して建物の剛性が低下する欠点を持っています。
これに対し高力ボルトは、鋼板を強烈な力で万力のように挟み込み、プレート相互の摩擦抵抗で力を受け止めます。ボルトの軸自体が外力を直接せん断方向で受けるわけではないという点が、構造力学における最大の分岐点です。