高力ボルトとは?普通ボルトとの決定的な違いと摩擦接合の全貌

高力ボルトとは?普通ボルトとの決定的な違いと摩擦接合の全貌について知っておくべき 注意点を厳選して解説いたします。

高力ボルト(高張力ボルト、通称ハイテンションボルト)とは、熱処理を施した高強度鋼を用いて製造され、極めて高い引張力を導入して使用される構造用締結部材です。鋼構造建築物の接合部において、従来の溶接接合と並ぶ最重要工法として位置づけられています。

ホームセンター等で流通している「普通ボルト(中ボルト)」との最大の違いは、材料強度そのものにとどまらず、「荷重をどの物理現象によって伝達しているか」という構造メカニズムの根本的な差異にあります。

比較項目高力ボルト(F10T / S10T)普通ボルト(4.6 / 4.8規格等)構造・設計上の評価引張強さ(規格値)1,000〜1,200 N/mm²400〜500 N/mm²程度素材段階で約2.5倍以上の強度差荷重の伝達原理鋼板同士の摩擦力(摩擦接合)ボルト軸部の支圧力・せん断力高力側はボルト孔との接触によるガタが生じない地震時の挙動すべり耐力まで剛性を維持(初期ガタゼロ)ボルト孔とのクリアランス分だけ初期ズレが発生主要構造部の耐震安全性に決定的な差主な用途高層ビル、橋梁、大スパン架構の主骨継手仮設物、小規模二次部材、胴縁・母屋建築基準法により主架構への普通ボルト単独使用は制限

普通ボルトは、母材に開けられたボルト孔(通常1〜2mm程度のクリアランスがある)の側面にボルトの胴体(軸部)が直接押し付けられる「支圧接合」や、ボルトを切断しようとする力に抵抗する「せん断接合」で力を受け止めます。そのため、部材に力が加わった瞬間にボルト孔の隙間分だけ接合部がわずかに滑り、繰り返しの揺れによって孔が塑性変形して建物の剛性が低下する欠点を持っています。

これに対し高力ボルトは、鋼板を強烈な力で万力のように挟み込み、プレート相互の摩擦抵抗で力を受け止めます。ボルトの軸自体が外力を直接せん断方向で受けるわけではないという点が、構造力学における最大の分岐点です。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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