ブリキの木こりの残酷な過去と本名!なぜ心を求めたのか真相解剖
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ネット上の掲示板やSNSでは、ブリキの木こりに関して「オズの魔法使いに出てくるロボット」という大雑把な認識が散見されます。しかし、この認識は設定上、明確な誤りです。
彼はゼンマイや人工知能で動くオートマタ(からくり人形)ではなく、元は人間であり、失われた生体組織をブリキの義肢で順次置換していったサイボーグです。関節が雨で錆びつくのも、機械油ではなく金属同士の摩擦に依存する構造だからであり、生きるための意志や生命エネルギーの根底は人間ニック・チョッパーそのものです。
また、「最終的に偉大な魔法使いオズから本物の心臓をもらって人間に戻った」という結末の誤解も根強く残っています。実際には、詐欺師であったオズが彼に授けたのは、おがくずを詰めてシルクの布で作った「ハート型のぬいぐるみ」に過ぎませんでした。オズ自身も「心臓など持たないほうが幸せだ」と前置きしたうえで、気休めのイミテーションを胸の中に押し込んだだけです。
それにもかかわらず、木こりはそのぬいぐるみを胸に入れられた瞬間から「心臓が胸のなかでドクドクと脈打っている!」と歓喜します。これは心理学でいう典型的なプラセボ効果(偽薬効果)であり、彼に必要なのは物質としての心臓ではなく、「自分には心がある」という確信と自己肯定感だったという、原作者の強烈なアイロニーが込められています。
さらに原作ファンを戦慄させるのが、シリーズ第12巻『オズのブリキの木こり』(1918年刊行)で明かされる後日談です。ブリキの木こりは、自分と同じように東の魔女の呪いで全身ブリキにされた兵士「キャプテン・ファイター」と遭遇。さらに鍛冶屋クー・クリップの工房を訪れた際、かつて切り落とされたニック・チョッパー自身の生身の手足や胴体、生首が樽の中に防腐保存されている光景と対面します。かつての自分の生首と現在のブリキの自分が会話を交わすという狂気のシチュエーションは、ボーム作品が持つグロテスクなシュルレアリスムの頂点と言えます。