膵液について正しいのはどれか?国試頻出の落とし穴と完全攻略まとめ
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膵液がpH7.8〜8.4という強い緩衝力を持った弱アルカリ性を保っている背景には、生命維持に直結する2つの生理学的必然性があります。その鍵を握る物質が、膵導管上皮細胞から大量に分泌される重炭酸イオン(HCO₃⁻)です。
第1の目的は、胃から間歇的に送り込まれてくる塩酸(胃酸)の強力な中和です。胃粘膜は厚い粘液層と強固なバリア機能によって自らの胃酸から守られていますが、十二指腸の粘膜は非常に薄く脆弱です。もし胃内容物が酸性のまま留まれば、瞬く間に粘膜がびらんを起こし、十二指腸潰瘍を形成してしまいます。膵液に含まれる豊富な重炭酸イオンが酸を中和することで、十二指腸の化学的熱傷を未然に防いでいます。
第2の目的は、膵消化酵素が十分に機能するための至適環境の構築です。ペプシンのようにpH1〜2の強酸性下で働く胃の酵素とは異なり、膵臓から分泌される消化酵素(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシンなど)の至適pHは中性から弱アルカリ性(pH7〜8付近)に設定されています。つまり、重炭酸イオンが胃酸を中和して環境を整えない限り、三大栄養素の本格的な分解プロセスは開始すらできません。
この膵液分泌を巧みに操るのが、十二指腸粘膜から分泌される2大消化管ホルモン、セクレチンとコレシストキニン(CCK)です。
- セクレチンの役割:酸性の胃内容物が十二指腸粘膜のS細胞を刺激すると分泌されます。血流を介して膵臓の導管細胞に作用し、「アルカリ性の重炭酸イオンと水に富む膵液」を大量に分泌させます。いわば「酸の消火活動」を命じるホルモンです。
- コレシストキニンの役割:アミノ酸やペプチド、脂肪酸などの分解産物が十二指腸粘膜のI細胞を刺激すると分泌されます。膵臓の腺房細胞に作用して「各種消化酵素に富む濃厚な膵液」の分泌を促すとともに、胆嚢を収縮させて胆汁を排出させます。こちらは「消化の本格開始」を促すホルモンです。
「セクレチンが酵素を出し、コレシストキニンが水を出す」という逆転の選択肢は、作問者が最も好むトラップの一つです。原因と結果の因果関係で捉えておけば、本番で惑わされる心配はありません。