世界唯一のウロコ哺乳類「センザンコウ」とは?生態と絶滅危機の真相

世界唯一のウロコ哺乳類「センザンコウ」とは?生態と絶滅危機の真相とはどのようなものなのか? 背景や要点を丁寧に紐解いて紹介します。

国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて、センザンコウ全8種はすべて絶滅危惧種(絶滅危惧IA類〜危急種)に指定されています。過去10年間で100万頭以上が違法に捕獲・取引されたとされ、生態系崩壊の瀬戸際に立たされています。

密猟が止まらない最大の原因は、中国やベトナムを中心とする「ウロコ(漢方薬原料)」への根強い需要です。伝統医学においてセンザンコウのウロコは「山甲(さんこう)」または「穿山甲片」と呼ばれ、血行促進や催乳(母乳の出を良くする)、腫れ物を治す特効薬として高値で取引されてきました。さらに、一部の富裕層の間ではその肉が高級珍味やステータスシンボルとして消費されています。

皮肉なことに、センザンコウの「身を丸めて防御する」という習性が密猟を極めて容易にしています。ライオンやヒョウの牙を弾き返す強靭な防御も、人間にとっては「手で拾い上げて袋に入れるだけ」の無力な行動にしかならないためです。

2016年に開催されたワシントン条約(CITES)第17回締約国会議において、全8種が「附属書I(商業目的の国際取引の全面禁止)」に引き上げられました。さらに中国当局も2026年に国家一級保護動物に指定し、公式薬方集からセンザンコウを除外する措置を講じました。しかし、1キロあたり数十万円規模で取引されるウロコを巡り、アフリカからアジアへの密輸ルートは今なお地下に潜伏したまま摘発が続いています。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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