あやめと菖蒲の決定的な違いは?同じ漢字の謎と見分け方を徹底解説

あやめと菖蒲の決定的な違いは?同じ漢字の謎と見分け方を徹底解説の具体的な内容に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

美しい女性や優劣をつけがたい優れたものを例える故事成語に「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」があります。この言葉は『太平記』に記された平安末期の武将・源頼政の鵺(ぬえ)退治の恩賞に由来します。頼政が褒美として美女「菖蒲前(あやめのまえ)」を賜る際、酷似した12名の美女の中から彼女を見分けよと鳥羽上皇から試練を与えられ、窮した頼政が詠んだ歌が語源とされています。

ここで多くの人が「なぜ菖蒲(しょうぶ)ではなくアヤメと読むのか」と疑問を抱きますが、前述の通り当時はサトイモ科のショウブもアヤメ科の植物も「あやめ」と呼び習わされていた文化的背景が反映されています。さらに現代のネット上では「あやめと杜若は同じ時期に同じ場所で咲くから見分けがつかない」という誤解が流布していますが、実際の自然界では開花リレーと住み分けが厳密に成立しています。

開花時期の違いを時系列で整理すると、以下のサイクルが浮かび上がります。

1. あやめ(5月上旬〜中旬):端午の節句の前後にいち早く乾いた草原や花壇で咲き始める一番バッター。
2. 杜若(5月中旬〜下旬):初夏の気配が濃くなる頃、池や小川の浅瀬から群生して咲き誇る。
3. 花菖蒲(5月下旬〜6月下旬):梅雨入りの雨水を受けながら、初夏の掉尾を飾るように大輪の花を咲かせる。

自然界において両者が同じ場所で同時に咲き乱れることは極めて稀であり、古人が「見分けがつかない」と嘆いたのは、姿かたちの美しさの品格が伯仲していたことに対する文学的賛辞であったと理解するのが自然です。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest