はたらく細胞の制御性T細胞ががん細胞を守る衝撃の理由と敵味方の真相
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『はたらく細胞』の描写が世界中の研究者や医療関係者から大絶賛された最大の理由は、その背景にある圧倒的に正確な医学的エビデンスです。
制御性T細胞(Regulatory T cell=通称Treg(ティーレグ))の存在と機能を発見したのは、大阪大学栄誉教授の坂口志文(さかぐち しもん)氏です。かつて免疫学の世界では「免疫反応を抑える細胞(サプレッサーT細胞)」の存在は一度否定され、長年タブー視されていました。しかし1995年、坂口教授は「CD25」という分子を目印にして、免疫の暴走を食い止める特殊な細胞集団が実在することを世界で初めて証明しました。
坂口教授の研究はノーベル生理学・医学賞の最有力候補として国際的に確固たる地位を築いています。そして、現代のがん治療における最大のブレイクスルーである「がん免疫療法」も、この制御性T細胞のメカニズムと切っても切れない関係にあります。
がん細胞は非常に狡猾です。自らの表面に「PD-L1」などのアンテナを張り巡らせ、免疫細胞に「私は味方だから攻撃しないで」とシグナルを送るだけでなく、周囲に制御性T細胞を呼び寄せてバリアを張らせます。本庶佑氏がノーベル賞を受賞した画期的な抗がん剤「オプジーボ(ニボルマブ)」などの免疫チェックポイント阻害剤は、まさにこの「がん細胞が免疫にかけたブレーキを強制解除する」ことで、キラーT細胞に再び攻撃を開始させる薬です。
作中で、外部からの大量の乳酸菌の助けや樹状細胞の活性化によって情報が更新され、最終的に制御性T細胞が「あいつは敵である」と正しく認識を改めるシーンがあります。あれこそは、現実の免疫療法が目指している「免疫寛容の突破」をこれ以上ない形で視覚化した名演出でした。