誘拐予告メールの犯人はなぜ捕まらない?サイバー捜査の壁と逮捕の現実

誘拐予告メールの犯人はなぜ捕まらない?サイバー捜査の壁と逮捕の現実について押さえておきたい 注意点を厳選して解説いたします。

自治体の問い合わせフォームなどに届く脅迫メールの送信元を辿ろうとしても、警察が即座に犯人の自宅へ踏み込めない最大の理由は、IPアドレスの徹底的な偽装と匿名化ネットワークの悪用にあります。

通常の電子メールやWebフォームからの送信であれば、送信者のグローバルIPアドレスからプロバイダ(ISP)を割り出し、契約者情報を照会することで数日以内に発信者を特定できます。しかし、悪質な予告犯は以下の複数のツールを幾重にも組み合わせて接続元を隠蔽しています。

第一の防壁となるのが、ダークウェブへのアクセスにも用いられるTor(The Onion Router / オニオンルーティング)です。Torは世界中に点在するボランティアのサーバー(ノード)を最低3カ所中継し、各ノード間で暗号化を多重にかけることで、送信元(ガードノード)と送信先(出口ノード)の関連性を第三者が追跡できないよう設計されています。たとえ自治体側のサーバーログに出口ノードのIPアドレスが記録されていたとしても、それは世界中のどこかにある中継用サーバーのアドレスに過ぎず、真の送信元を示すものではありません。

さらに近年では、海外VPNサービスを踏み台サーバーとして併用する手口が主流です。特にプライバシー保護を名目に「接続ログや通信ログを一切保存しない」と公約しているいわゆる「ノーログVPN」を契約し、複数の国境を跨いで多段接続を行うことで、サイバー警察の追跡ルートを完全に分断しようと試みます。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest