人間国宝・尾上菊五郎の圧巻の芸と素顔!名跡継承の舞台裏を追う
人間国宝・尾上菊五郎の圧巻の芸と素顔!名跡継承の舞台裏を追うの要点を詳しく解説してご紹介します。
七代目尾上菊五郎の真骨頂といえば、なんといっても音羽屋のお家芸である白浪物と義太夫狂言の傑作群だ。代表作『弁天娘女男白浪』(通称・弁天小僧)で見せる、武家娘から凄みのある泥棒へと変貌する刹那の美しさは、今なお伝説として語り継がれる。「知らざあ言って聞かせやしょう」の名台詞に宿る小気味よいリズムは、まさに彼だけの職人技だ。
一方、『義経千本桜』における「すし屋」のいがみの権太で見せる泥臭い人間味と悲哀、そして親子の情愛の描写は圧巻の一言に尽きる。悪党でありながらどこか憎めず、最後に見せる切ない親孝行の姿に、客席からはすすり泣きが漏れる。古典の型を守りながら、現代人の心にダイレクトに突き刺さる感情を吹き込む手腕こそ、彼が天才と呼ばれる所以である。