『硫黄島からの手紙』二宮和也がハリウッドを唸らせた真の理由
『硫黄島からの手紙』二宮和也がハリウッドを唸らせた真の理由の重要ポイントをお届けします。専門的な知識がチェックできます。
本作にまつわるネット上の言説の中には、一部で事実とは異なる誤解も見受けられます。その代表格が「二宮和也の英語力」や「劇中アドリブの真相」に関する議論です。
まず言語面についてですが、本作は全編ほぼ日本語で進行する作品であり、二宮が演じる西郷に流暢な英語セリフは要求されていませんでした。しかし、現場ではクリント・イーストウッド監督やハリウッドの撮影クルーとのコミュニケーションが必須でした。主演の渡辺謙が流暢な英語でチームを牽引する傍ら、二宮は通訳を介しつつも監督の身振り手振りや目線の指示を瞬時に理解し、1〜2テイクで監督の要求通りの芝居を成立させるという圧倒的な勘の良さを発揮しました。
また、「現場のセリフは二宮のアドリブだらけだった」という噂についても検証が必要です。実際には、脚本家アイリス・ヤマシタによる綿密な脚本が存在していました。ただし、イーストウッド監督は俳優に極めて大きな自由度を与える演出スタイルで知られており、二宮の自然な呼吸から漏れ出る「つぶやき」や「間(ま)」の取り方をそのまま採用しました。西郷が放つ兵士としての生々しい愚痴やため息は、台本をなぞるだけでは生まれない、二宮自身の直感的なアプローチが融合した結果だったのです。