多発性筋炎とは?初期症状のサインと皮膚筋炎との違い・最新治療を追う
多発性筋炎とは?初期症状のサインと皮膚筋炎との違い・最新治療を追うの具体的な内容に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。
多発性筋炎とは、本来であればウイルスや細菌から身体を守るはずの免疫細胞が、何らかのエラーによって自らの骨格筋を異物と誤認し、持続的な炎症を引き起こす自己免疫疾患です。厚生労働省が定める指定難病(告示番号50)に指定されており、日本国内の受給者証所持者数は皮膚筋炎と合わせて約2万人規模と推計されています。発症ピークは50代前後に見られるものの、小児から高齢者まで幅広い年齢層で確認されています。
根本的な多発性筋炎の原因は完全には解明されていません。しかし、遺伝的な素因にウイルス感染や過度の肉体的・精神的ストレス、特定の薬剤曝露などの環境因子が引き金となって発症する多因子疾患であると考えられています。免疫学的アプローチでは、細胞傷害性T細胞(CD8陽性T細胞)が筋線維を直接攻撃し、筋線維の壊死と再生が繰り返されるプロセスが解明されています。
臨床現場において最も警戒されているのが、多発性筋炎の初期症状の曖昧さです。発症初期は急激な激痛を伴うことが少なく、数週間から数カ月をかけて緩徐に筋肉の力が入らなくなっていきます。特に侵されやすいのは、首、肩、太もも、体幹といった「近位筋(身体の中心に近い筋肉)」です。患者の手記や臨床記録からは、日常生活における以下のような異変が最初期のサインとして浮き彫りになっています。
【見落としてはならない初期の生活兆候】
・腕を上げ続けるのが辛く、髪を洗う動作やドライヤー、洗濯物を干す動作が重労働に感じる。
・駅の階段を上る際に手すりを使わなければ身体を持ち上げられない。
・和式トイレや低い椅子からの立ち上がりに著しい苦痛を伴う。
・重い荷物を持ち上げる、電車の吊り革につかまり続けることが急に困難になる。
・筋肉の自発痛だけでなく、押したときの痛み(圧痛)や全身の強い倦怠感が続く。
患者の多くは「最近体力が落ちた」「年齢による筋力低下だろう」と自己判断し、受診が遅れるケースが後を絶ちません。しかし、筋肉の破壊が進むにつれて自立歩行が困難になり、さらには喉の筋肉(咽頭筋)が侵されて食べ物を飲み込みにくくなる「嚥下障害」へ進行するリスクがあります。誤嚥性肺炎を併発すれば命に直結するため、身体の深部から湧き上がる筋力低下のサインを早期に捉える観察眼が不可欠です。