那須烏山市が今選ばれる理由とは?山あげ祭と移住のリアルを追う

那須烏山市が今選ばれる理由とは?山あげ祭と移住のリアルを追うについて押さえておきたい 理由を厳選して解説いたします。

観光拠点としての那須烏山市を語る上で欠かせないのが、重厚な伝統文化と息を呑む自然美の共存です。点在する名所の背景にある物語を知ることで、この土地が持つ底力がより鮮明に浮き彫りになります。

筆頭に挙げられるのが、国の重要無形民俗文化財であり、2016年にユネスコ無形文化遺産に登録された那須烏山市の山あげ祭です。毎年7月第4金曜日から日曜日の3日間にわたり開催されるこの祭礼は、約460年前の永禄3年、烏山城主の那須資胤が疫病退散を祈願して牛頭天王を祀ったことに端を発します。

山あげ祭の真骨頂は、道路上に即席の舞台を組み、歌舞伎狂言を演じる移動式の野外劇にあります。最大の見せ場は、和紙で作られた高さ十数メートルにも及ぶ巨大な山型(山屏風)を、何百人もの若衆が木遣り歌に合わせて一気に引き上げる「山あげ」の瞬間です。舞台背景が次々と人力で転換され、街角が一瞬にして豪華絢爛な劇場へと変貌する様は、世界でも類を見ない民俗芸能の極致と称されます。現地保存会の古老が手記で「山あげは烏山人の誇りであり、命そのもの」と語る通り、世代を超えた結束によって伝統が死守されています。

静寂と迫力を併せ持つ景勝地が那須烏山市の龍門の滝です。江川にかかる幅約65メートル、落差約20メートルの大滝で、滝壺には大蛇が棲んでいたという伝説が残ります。新緑や紅葉の美しさはもちろんのこと、滝のすぐ上方をJR烏山線のディーゼル車や蓄電池駆動電車「ACCUM(アキュム)」が渡っていく光景は、全国の鉄道ファンや写真愛好家を惹きつけてやみません。滝を見下ろす「龍門ふるさと民芸館」周辺の展望テラスも整備が進み、マイナスイオンを浴びながらのカフェ利用など、日常のリフレッシュスポットとして定着しています。

歴史探訪派にとって外せないのが那須烏山市の烏山城跡です。応永25年(1418年)に沢村五郎資重によって築城されたと伝わる中世屈指の山城で、八高山(標高約206メートル)の尾根を巧みに利用した堅牢な縄張りを誇ります。関東では極めて珍しい石垣遺観や、幾重にも掘られた巨大な空堀(堀切)、吹貫門跡などの遺構が良好に残されており、国の史跡にも指定されています。戦国動乱の時代から近世大久保氏の治世に至るまで、烏山の政治的中心であり続けたこの山城を歩けば、城下町として栄えた地域の背骨を感じ取ることができます。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest