うつ病の症状は顔つきに出る?表情が消える真相と周囲が見抜くサイン

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うつ病を発症すると、なぜ真っ先に表情や目元の生気が失われてしまうのか。そこには個人の意思や精神力とは無関係な、中枢神経系における明確な生理学的変化が存在する。

精神科臨床において、患者の感情表出が著しく鈍麻し、顔面の起伏が失われた状態を仮面様顔貌(かめんようがんぼう)と呼ぶ。この状態に陥る最大の要因は、脳内で意欲や感情の制御、運動調節を担うセロトニン、ノルアドレナリン、そしてドパミンといった神経伝達物質の活性低下にある。とりわけ前頭前野から大脳基底核、運動野へと至る神経回路の伝達効率が落ちると、微細な表情を作り出す表情筋(大頬骨筋や笑筋、皺眉筋など)への神経刺激が極端に鈍くなる。これが、うつ病で表情が消える原因の核心である。

本来、人間の表情は他者との対話や感情の揺らぎに応じて毎秒単位で無意識に変化し続けている。しかし、うつ病の急性期では感情のインプットに対する脳の処理速度が低下し、それに伴うアウトプット(表情筋の収縮)も停止してしまう。結果として、怒りも喜びも悲しみも表層に現れず、まるで硬い仮面を貼り付けたような無機質な顔つきに固定されるのだ。本人は決して無感情になっているわけではなく、内面では絶望感や激しい自責の念が渦巻いているにもかかわらず、それを筋肉の動きとして外へ出力するエネルギーそのものが枯渇しているのである。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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