上弦の伍・玉壺はなぜ敗れたか?過去の猟奇性と後任不在の深層
上弦の伍・玉壺はなぜ敗れたか?過去の猟奇性と後任不在の深層の真相や最新動向に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。
アニメ版『鬼滅の刃』における玉壺の存在感を決定づけたのは、実力派声優・鳥海浩輔氏による圧巻の怪演です。複数の口や目玉が入れ替わるというアニメーションとしても極めて難度の高い異形キャラに対し、鳥海氏は高貴さを漂わせる美声と、突如として裏返るヒステリックな奇声を絶妙にブレンドさせました。
アフレコ現場の公式レポートやインタビューにおいて鳥海氏は、玉壺を「純粋な悪でありながら、どこか子供のような無邪気さと狂気を持つキャラクター」として捉え、感情の起伏の激しさを滑らかに繋ぐのではなく、あえて断絶させるように演じたと明かしています。「ヒョッヒョッ」という特徴的な笑い声や、無一郎に壺を侮辱された際の血管が破裂せんばかりの怒号は、視聴者に強烈な不気味さと生理的嫌悪感を与えました。
この演技の凄まじさが極点に達したのが、玉壺の死亡シーンです。頸を刎ねられた後も即座に絶命を受け入れられず、生首の状態で無一郎を見下しながら、「人間風情がこの玉壺様に」「貴様らの命百生分よりも私の方が価値がある」と見苦しい罵詈雑言を喚き散らし続けました。他の上弦の鬼が死の間際に走馬灯を見つめ、過去の悲哀を回想する演出が恒例となっていた中、玉壺には一切の回想シーンが挟まれませんでした。
無一郎は玉壺の醜怪な断末魔に一切の慈悲を示さず、「もういいからさ、早く地獄に行ってくれないかな」と言い放ち、首を細切れに切り刻んで消滅させました。救いのない悪として、ただただ無様に、しかし圧倒的な狂気の痕跡を焼き付けて散っていく演出は、鳥海氏の怪演と相まって、本作屈指の「清々しいまでの絶対悪の退場」としてファンの記憶に刻まれています。