大槌町「風の電話」の現在と真実|震災15年の今も紡がれる祈りの記録
大槌町「風の電話」の現在と真実|震災15年の今も紡がれる祈りの記録の注目されている理由をコンパクトにまとめました。全体像を一目で把握できます。
ボックスの中には、黒いダイヤル式電話機の傍らに一冊の大学ノートとペンが置かれています。これが「風の電話ノート」です。現在までに何十冊にも及ぶノートが保管されており、そこには訪問者が受話器を取って語りかけた言葉や、胸の内に押し込めていた本音がびっしりと記されています。
震災直後は、「どこにいるの」「早く帰ってきて」「見つけてあげられなくてごめんね」といった、突然断ち切られた家族の安否を気遣う痛切な叫びが大多数を占めていました。しかし、歳月が流れた現在、ノートに刻まれる言葉のグラデーションには明らかな変化が見られます。
「子どもが今年、無事に成人式を迎えました」「お父さんの残した家を守っています」「天国で待っていてね、私ももう少し頑張って生きます」——このように、悲しみを抱えながらも自らの歩みを報告し、前を向いて生きる決意を伝える記述が目立つようになっています。さらに近年では、震災遺族にとどまらず、病気や事故で先立たれた配偶者、自死で亡くなった我が子、あるいは愛するペットへの想いを綴る人々が全国から訪れており、現代社会のあらゆる「喪失」を受け止める器となっています。