耳の激痛・痒みの正体「外耳炎」とは?耳掃除の罠と治し方徹底解説

耳の激痛・痒みの正体「外耳炎」とは?耳掃除の罠と治し方徹底解説について知っておくべき 理由を分かりやすい構成で解説いたします。

多くの患者が診察室で「毎日お風呂上がりに清潔に綿棒で掃除していたのに、なぜ菌が入ったのか」と困惑の表情を浮かべます。しかし耳鼻咽喉科医が口を揃えて指摘する外耳炎の原因と理由の核心こそが、まさにその耳掃除のやりすぎに他なりません。

本来、外耳道には自浄作用が備わっています。耳垢(耳あか)は単なるゴミではなく、皮脂腺や耳垢腺から分泌された脂質に、リゾチームや免疫グロブリンといった強力な抗菌・抗真菌成分、そして皮膚の角質が混ざり合った「天然の防護壁」です。さらに外耳道の皮膚は、鼓膜の中心から外側に向かってベルトコンベアのように1日に約0.05〜0.1mmのペースで角質が移動する自浄排泄機能を持っています。

綿棒や竹製・金属製の耳かきで毎日ゴシゴシと擦る行為は、この大切な防護バリアを自らの手で削り落とし、0.1mmの繊細な表皮に無数の微小な裂創(目に見えない傷)をつけている行為に等しいのです。バリアを失った皮膚から組織液が染み出し、アレルギー反応や慢性刺激によって外耳道湿疹へと移行すると、皮膚は粉をふいたように乾燥して激しい痒みを誘発します。

ここで人間を行動心理学的な悪循環に陥れるのが、迷走神経刺激による「快感報酬系」のトラップです。外耳道の内側には迷走神経の耳介枝(アーノルド神経)が分布しており、ここを物理的に刺激すると脳内では一時的な快感が放出されます。痒みを鎮めるために綿棒を差し込み、擦ることで一瞬の快感を得るものの、傷口はさらに広がり、数時間後に倍増した痒みとなって跳ね返ってくる――この自傷的な「掻破(そうは)サイクル」から抜け出せなくなる患者が後を絶ちません。

傷ついた皮膚に黄色ブドウ球菌や緑膿菌が侵入して急性の細菌感染を起こすだけでなく、近年特に深刻化しているのが外耳道真菌症への悪化です。痒みを抑えようと自己判断でステロイド軟膏を塗り続けたり、テレワークや音楽鑑賞で密閉型のカナル型イヤホンを1日5時間以上装用し続けたりすることで、耳の穴の中は高温多湿の温室状態と化します。その結果、アスペルギルスやカンジダといったカビ(真菌)が外耳道の深部にびっしりと繁殖し、通常の抗菌薬が一切効かない難治性の激痛・頑固な痒みに苛まれるケースが多発しています。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest