六甲山サイレンスリゾートの現在は?休業理由と再開の真相【2026】

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この場所が背負う物語を理解するには、昭和初期にまで時計の針を巻き戻す必要があります。敷地の中核をなす旧六甲山ホテルは、1929年(昭和4年)に宝塚ホテルの別館として開業しました。設計を手がけたのは、宝塚大劇場旧館などで知られる名匠・古塚正治氏です。丸太組みのハーフティンバー様式を取り入れたモダンクラシックな洋館は、阪神間のモダニズム文化を象徴する避暑地リゾートとして一時代を築き、国の「登録有形文化財」や経済産業省の「近代化産業遺産」にも認定されました。

しかし、建物の老朽化と耐震基準への適合課題から、阪急阪神ホールディングスは2015年末に本館の営業を終了。取り壊しの危機に瀕した歴史的遺産を買い取り、再生へと名乗りを上げたのが、高級輸入車ディーラーなどを幅広く展開する八光自動車工業(大阪市)でした。

八光自動車工業の池田淳八社長(当時)は、単なるホテル再建にとどまらず、イタリアの「スローフード運動」や自然との調和を軸にした欧州型ウェルネスリゾートの創出を提唱。その思想を具現化するパートナーとして指名されたのが、プリツカー賞受賞建築家である坂茂(ばん しげる)氏です。

坂茂氏は、旧館の貴重な内外装を緻密に修復・保存しながら、紙管や木材をダイナミックに用いた現代建築を見事に融合させました。2019年7月、往年のアール・デコ調マントルピースや美しい梁を蘇らせた「六甲山サイレンスリゾート」が華麗にプレオープン。歴史的遺産の継承と革新的デザインの幸福な邂逅として、建築界・観光業界から熱狂的な賛辞を浴びることとなりました。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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