大地震でも倒れない五重塔の謎|心柱の免震技術と日本三大名塔の深層解剖
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日本全国に数ある五重塔のなかでも、一般に「日本三大五重塔」と称されるのが、奈良の法隆寺、京都の醍醐寺、そして山口の瑠璃光寺です(歴史的背景により東寺を含める説もあります)。現地を訪れる旅人や文化財ファンにとって、2026年現在の鑑賞環境は大きな転換点を迎えています。
最大の注目点は、山口市香山町に位置する瑠璃光寺五重塔の改修工事と現在の姿です。同塔では、約70年ぶりとなる本格的な屋根の葺き替え工事「令和の大改修」が進められてきました。長年の雨風で傷んだ檜皮葺の葺き替え作業に伴い、塔全体が巨大な素屋根(足場シート)に覆われていた時期がありましたが、現在は工事のヤマ場を越え、職人たちの精緻な技によって葺き直された真新しい檜皮葺の優美な屋根が姿を現しています。
現地を訪れた参拝客の生の声を聞くと、「改修中の覆いが外され、新調された檜皮の赤みを帯びた美しい層と、周囲の池や庭園が調和する光景に息を呑んだ」「室町時代の大内文化が誇る端正な曲線美が完全に蘇っている」といった深い感銘のコメントがSNSや旅のコミュニティに数多く寄せられています。工事期間中限定で設置されていた展望デッキなど、文化財修復を可視化する試みも高く評価されました。
一方、古都・京都において圧倒的な存在感を放つ東寺五重塔の特別公開も見逃せません。通常、東寺の五重塔内部は非公開ですが、春の桜シーズンや秋の紅葉シーズンなどに合わせて「初層内部の特別公開」が定期的に実施されています。普段は格子越しにしか窺えない初層内陣に足を踏み入れると、そこには別世界が広がっています。中央にそびえる心柱を大日如来に見立て、その周囲を金剛界四仏が囲む立体曼荼羅の空間です。壁面や柱に極彩色で描かれた八大菩薩の壁画は、弘法大師空海が構想した密教の宇宙観そのものであり、現地で実物を目にした訪問者からは「外観の重厚さとは対照的な、息を呑むほど濃密な宗教美術の極致に鳥肌が立った」という声が絶えません。
さらに、出羽三山の霊場にたたずむ羽黒山五重塔の見どころも特筆に値します。随神門から2446段の石段を下り、国指定天然記念物「爺杉(じじすぎ)」を抜けた深い杉木立の中に佇むその姿は、人工物でありながら自然の森の一部として呼吸しているかのような神々しさを放っています。朱塗りなどの華美な装飾を排した素木造りの質感と、薄い板を重ね合わせた「こけら葺き」の屋根が描く静かなシルエットは、東北の厳しい冬の雪景色とも完璧に調和します。季節と時間帯によって劇的に表情を変える現場の空気感こそが、五重塔巡りの醍醐味といえます。