側音化構音は自然に治る?原因と大人への影響・治し方を受診目安まで解説
側音化構音は自然に治る?原因と大人への影響・治し方を受診目安まで解説の背景について、専門知識を取りまとめてご紹介します。
「成長とともに顎が発達すれば、自然に綺麗な発音になる」という俗説を信じ、対応を先送りにしてしまう家庭は後を絶ちません。しかし、結論から言えば、側音化構音は自然に治る可能性が極めて低い発音の誤りです。
言語発達の過程で見られる一般的な構音の誤りには、「置換(ちかん)」と呼ばれる現象があります。例えば、「さかな」を「たかな」と言ったり、「くるま」を「たるま」と言ったりする幼児語です。これは舌の筋肉の発達や運動機能が未熟なために起こる一時的なもので、5歳から6歳頃にかけて大半が自然と正しい音へと成熟していきます。
対照的に、側音化構音は音の置き換わりではなく「歪み(ひずみ)」に分類されます。舌の中央から前方に抜けるべき呼気が、舌の側面に流れて奥歯と頬の間から漏れ出してしまうという異常な運動パターン(悪癖)を学習してしまった状態です。運動パターンの誤りは、どれだけ身体が成長しても、本人が自発的に修正するきっかけを掴むことは困難です。
側音化構音が大人になっても残ってしまう背景には、主に3つの構造的障壁が存在します。
第1に「聴覚フィードバックの限界」です。側音化構音を発している本人は、幼少期からその音を自分の「正解の音」として聞き慣れてしまっているため、他者から指摘されるまで自分の発音がおかしいと自覚しにくい特徴があります。自覚がない動作を自力で矯正することはできません。
第2に「構音器官の運動パターンの固定化」です。何年も誤った舌の使い方を繰り返すうちに、舌の偏った筋肉の使い方が脳の運動野に神経回路として深く記憶されます。大人になってから矯正しようとすると、すでに完成された運動記憶を脱学習(一度リセット)した上で、ゼロから新しい運動パターンを構築しなければならず、年単位の根気強い訓練を要することになります。
第3に「二次的な心理的防壁」です。小学校高学年から思春期にかけて、周囲から発音の不自然さをからかわれたり、音読で恥ずかしい思いをしたりすることで、発話自体に恐怖を抱くようになります。その結果、口をあまり開けずに不明瞭にごまかして話す防衛反応が身につき、ますます舌の適切な運動から遠ざかる悪循環に陥ってしまいます。