業務後の勉強は自己研鑽?それとも労働?残業代が出る境界線を徹底解説
業務後の勉強は自己研鑽?それとも労働?残業代が出る境界線を徹底解説の真相や最新動向に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。
自己研鑽をめぐるトラブルの原点であり、最も精緻なルール作りが進められたのが医療分野です。医師の長時間労働を是正するために策定された「医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方についてのガイドライン」では、診療準備や学会発表、論文執筆について、「上司の明示・黙示の指示があるか」「本来業務との明確な区別が可能か」を上司と本人が事前に合意・確認する手続きが義務付けられました。
しかし、この制度が一般企業に波及する過程で、現場では新たな歪みが生じています。都内の受託開発IT企業に勤務する30代システムエンジニアの男性は、労働基準監督署への相談を視野に入れた際の手記で次のように胸中を吐露しています。
「定時後の19時から毎週、新技術のキャッチアップと称した勉強会が開催されていました。上司は『キャリアアップはエンジニアの責務だし、勉強会は完全な自己研鑽だから残業はつけないでね』と笑顔で言いますが、実態はクライアントワークで使用する新フレームワークの検証でした。一度、体調不良で欠席を申し出た同僚が『意欲が足りない』とプロジェクトから外されたのを見て、全員が強制だと悟りました。年間で200時間を超える無給労働でした」
SNSやコミュニティサイトでも、同様の告発が相次いでいます。「終業後のロールプレイング研修が自己研鑽扱いになっている」「資格試験に落ちたら受験料全額自己負担の上、反省文を書かされた」など、自発性を装った無給の労働力搾取が横行しているのが実態です。労働基準監督署による是正勧告の事例でも、企業側が「社員が勝手に残って勉強していた」と主張したものの、業務日報に勉強会の内容が必須記載されていたことから、一連の時間を時間外労働と認定し、数千万円単位の未払い残業代支払いを命じたケースが確認されています。