抹茶と緑茶の決定的な違いとは?製法・栄養成分の真相をプロが解説
抹茶と緑茶の決定的な違いとは?製法・栄養成分の真相をプロが解説とはどのようなものなのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。
同じ茶の木から、なぜ全く異なる風味と色合いが生まれるのでしょうか。その根源は、茶畑における太陽光のコントロールと、収穫後の加工工程にあります。
抹茶の原料となる茶葉は「碾茶(てんちゃ)」と呼ばれます。碾茶を育てる際、収穫前の約20日〜30日間にわたり、茶園全体を黒い遮光ネット(寒冷紗)や葦簀(よしず)で覆う「覆下栽培(被覆栽培)」が施されます。日光を遮ることで、茶葉内部の光合成が意図的に抑制されます。
植物生理学的に、茶の根で作られた旨み成分「テアニン(アミノ酸)」は、日光を浴びて光合成を行うことで渋み成分「カテキン」へと変化します。覆下栽培によって日光を遮断すると、テアニンのカテキン化がストップし、茶葉の中に濃厚な甘みと旨みが凝縮されます。同時に、葉はわずかな光を捉えようとして葉緑素(クロロフィル)を爆発的に増やすため、鮮やかで深い濃緑色へと仕上がります。
これに対し、一般的な「煎茶」は太陽の光をたっぷりと浴びる「露地栽培(ろじさいばい)」で育てられます。日照によってカテキンが豊富に生成され、清涼感のある爽やかな苦みと渋みが引き立ちます。
収穫後の加工工程にも決定的な違いがあります。煎茶は蒸した後に「揉む(揉捻・じゅうねん)」工程を経て針状に整えられます。揉むことで茶葉の細胞組織を適度に破壊し、急須のお湯で成分を抽出しやすくするためです。一方、抹茶の原料である碾茶は「絶対に揉まない」のが鉄則です。蒸した葉をそのまま冷却・乾燥炉に通し、茎や葉脈を丁寧に取り除いて葉肉部分(碾茶)だけを選別します。揉み癖のないフラットな葉肉だからこそ、石臼や気流粉砕機で数ミクロン(1ミリの1000分の1単位)の滑らかな超微粉末へと均一に挽き上げることができるのです。