ブルガリアヨーグルトはなぜ国名を冠せる?消えた砂糖と半世紀の真相

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発売当初、消費者の反応は決して芳しいものばかりではありませんでした。「腐っているのではないか」「酸っぱすぎて食べられない」といった戸惑いの声が相次ぎました。それでも明治が砂糖や香料を加えて日本人の舌に迎合しなかったのは、伝統的な発酵がもたらす本質的な健康価値を信じていたからです。

この独特の風味を決定づけているのが、「LB81乳酸菌」と呼ばれる特別な菌種です。名称の「LB」は乳酸桿菌であるラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の頭文字、「81」は乳酸球菌であるストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の菌株番号に由来しています。

この2つの菌種には、互いの代謝産物を利用して助け合う「共生作用」があります。サーモフィルス菌が先に増殖して酸素を消費し、ブルガリクス菌の生育しやすい環境を整えると、ブルガリクス菌がタンパク質を分解してアミノ酸を供給し、サーモフィルス菌の働きをさらに加速させます。この絶妙な相互作用によって生み出される乳酸こそが、キレのある爽快な酸味の正体です。

単なる風味の違いにとどまらず、LB81乳酸菌は腸内フローラのバランスを整え、お通じを改善する科学的根拠が明確に証明されたことで、1996年に厚生省(現・厚生労働省)から「特定保健用食品(トクホ)」の表示許可を取得しました。甘いお菓子感覚ではなく、「毎日の健康維持に欠かせない基礎食品」としての確固たる地位を築いた背景には、妥協のない菌種選定と発酵技術への愚直なこだわりがありました。

松本 悠斗

松本 悠斗

サステナビリティ研究家

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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