なぜ下膨れが絶世の美女なのか?平安美人の特徴とモテた真相

なぜ下膨れが絶世の美女なのか?平安美人の特徴とモテた真相について専門的な視点から解説いたします。専門家の見解をご覧ください。

「現代の感覚で見れば美人とは思えない顔立ちなのに、なぜ平安貴族の男性たちは狂おしいほど恋焦がれたのか?」――この疑問に対する答えは、当時の貴族社会の恋愛システムの中にあります。結論から言えば、男性たちは女性の顔を見て恋に落ちたわけでは一切ありません。

平安時代の上流階級の女性は、父親や夫以外の男性に素顔を見せることを「最大の恥辱」として厳格に禁じられていました。彼女たちは屋敷の奥深く、幾重にも重なる御簾(みす)や几帳(きちょう)の陰に隠れて生活しており、男性が女性の顔を間近で見るのは、夜這いを重ねて婚姻(通い婚の成立)に至った後の寝所の中だけだったのです。

では、男性は何を手がかりに「絶世の美女」と判断したのでしょうか。モテる女性の絶対条件は、明確な優先順位で決まっていました。

男性貴族が恋に落ちるきっかけの筆頭は「垣間見(かいまみ)」です。屋敷の隙間から偶然覗き見た際に、几帳の裾からこぼれ出ている艶やかな「黒髪の美しさ」と、十二単の計算された色彩美(襲の色目)。次に、取り次ぎの女房を介してやり取りされる「和歌の達者さ・流麗な筆跡」。そして、手紙や風に乗って漂ってくる「独自の調合による薫物の香り」です。

当時の男性の日記や歌集を調査すると、女性への賛辞として記されているのは「御髪(みぐし)の丈なす美しさ」や「えも言われぬ芳香の気品」ばかりです。顔のパーツの配置など、恋が燃え上がった後で確認する付随的要素に過ぎませんでした。五感を総動員して見えない相手を想像する平安の恋愛様式において、顔立ちそのものの重要度は現代よりも遥かに低かったのです。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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