升田幸三の伝説と新手一生の真実!宿敵大山康晴との激闘と陣屋事件
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升田幸三を語る上で、同門の弟弟子であり、後に将棋界の絶対王者として君臨した大山康晴との関係性を避けて通ることはできません。木見金治郎門下の二人は、年齢にして升田が5歳上。少年時代から同じ釜の飯を食い、互いの長所と短所を知り尽くした間柄でした。
二人の棋風と勝負哲学は、対極を極めていました。独創的な新手を次々に放ち、序盤から相手を圧倒する芸術家肌の升田に対し、大山は強靭な受けと粘り強い終盤力で泥沼の逆転劇を演じる勝負師肌。「華麗な巨匠」と「不敗の鉄人」による覇権争いは、昭和の日本中を熱狂させました。
この宿敵対決の頂点となったのが、1956年(昭和31年)の第5期王将戦です。当時の王将戦には、相手に3勝差をつけると手合割を改める「指し込み制」が導入されていました。升田は第1局から3連勝を飾り、大山名人を相手に「香落ち」へと指し込む歴史的快挙を達成します。そして迎えた第5局、香落ちの下手番(ハンデをもらう側)となった升田は、絶対に負けられない重圧を跳ね返し、見事に大山を撃破しました。「名人に香車を引いて勝つ」という少年時代の誓約を、正真正銘の公式タイトル戦で現実のものとした瞬間でした。
通算対戦成績において升田は大山に大きく負け越すことになりますが、盤上での激闘と人間としての愛憎入り混じる絆は、戦後将棋界の黄金期を牽引する強大なエネルギー源となりました。