被疑者とは?容疑者・被告人との違いや逮捕後の流れ・前科の真相を解説

被疑者とは?容疑者・被告人との違いや逮捕後の流れ・前科の真相を解説の具体的な内容に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

テレビや新聞の犯罪報道に触れる際、誰もが一度は抱くのが「なぜニュースでは容疑者と呼び、法律の解説では被疑者と呼ぶのか」という疑問です。この疑問を解消する鍵は、被疑者の法律上の定義とメディアの歴史的背景にあります。

日本の刑事手続を司る刑事訴訟法における被疑者とは、「捜査機関から犯罪の嫌疑をかけられて捜査の対象とされているが、まだ公訴を提起(起訴)されていない者」と定義されます。つまり、警察や検察が「この人物が罪を犯したのではないか」と疑って内偵や捜査を進めている段階の人物は、すべて法的に被疑者です。これに対して「容疑者」という言葉は、日本の法令上には一切登場しません。

では、なぜ報道現場では「被疑者」ではなく「容疑者」という表現が定着しているのでしょうか。その決定的な理由は、放送時の「聞き間違い防止」と「人権への配慮」にあります。音声でニュースを伝えるラジオやテレビにおいて、「ひぎしゃ(被疑者)」という発音は「ひがいしゃ(被害者)」と極めて酷似しており、視聴者が重大な誤認を起こす危険がありました。そのため、1980年代半ばから新聞各社や日本民間放送連盟、NHKなどが用語を統一し、被疑者の報道における呼び方として「容疑者」を採用した経緯があります。法的な実態は同一でありながら、法廷用語とジャーナリズム用語という住み分けがなされているのが実情です。

一方、被疑者と被告人の違いは、個人の法的立場を根本から二分する極めて重要な境界線です。検察官が裁判所に対して「この人物の罪を裁いてほしい」と起訴(公訴の提起)を行った瞬間、その人物の法的な呼称は被疑者から「被告人」へと切り替わります。民事裁判で訴えられた側を指す「被告」と混同されがちですが、刑事裁判の当事者はあくまで「被告人」です。被疑者は「捜査の対象」であるのに対し、被告人は「公開の法廷で裁判を受ける当事者」であり、憲法および刑事訴訟法上で保障される権利の性質も変化します。

さらに実務上で混同されやすいのが、参考人と被疑者の違いです。参考人とは、犯罪の嫌疑はかけられていないものの、事件を目撃した、あるいは被害者や被疑者と関係があるといった理由で事情聴取を求められる第三者を指します。参考人の聴取は原則として完全な任意であり、出頭を拒否することも途中で退席することも自由です。しかし、警察の事情聴取を受ける中で供述に矛盾が生じたり新証拠が見つかったりした場合、捜査機関の判断によってその場で「被疑者」へと立場が切り替わり、身柄拘束へと発展するケースは現場で珍しくありません。

山本 拓海

山本 拓海

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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