橈側皮静脈の走行と点滴の盲点|浅橈骨神経損傷を防ぐ穿刺の鉄則

橈側皮静脈の走行と点滴の盲点|浅橈骨神経損傷を防ぐ穿刺の鉄則にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

日本医療機能評価機構などの医療事故調査報告書や看護協会の安全管理データにおいても、穿刺に伴う末梢神経損傷事故の多くが前腕橈側部での手技に集中しています。

橈側皮静脈での採血における最大の注意点は、橈骨茎状突起(手首の親指側の骨の出っ張り)から中枢側へ向かう約5〜8cmのゾーンです。このエリアでは、深部から皮下へと浮上してきた浅橈骨神経の終末枝が網の目のように分岐し、橈側皮静脈と数十ミリ〜数ミリ単位で交差しています。

この部位に針を刺入した際、針先が神経線維に触れたり貫通したりすると、患者は「親指から人差し指にかけて電気が走るような激痛」を訴えます。これが橈骨神経由来のしびれの初期症状です。

神経損傷が引き起こす後遺症は軽視できません。多くの場合は数週間から数カ月で自然寛解しますが、重篤なケースでは複合性局所疼痛症候群(CRPS)へと移行し、長期にわたる灼熱痛や可動域制限に苦しむ事態に発展します。過去の民事判例でも、「手首付近の危険ゾーンにおいて神経損傷のリスクを回避する義務を怠った」として、医療機関側の過失が認定された判決が複数存在します。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest