井上陽水のコーヒールンバは何故響く?名カバーの魔力と色気の真相
井上陽水のコーヒールンバは何故響く?名カバーの魔力と色気の真相に関する主要な事実を分かりやすくまとめました。詳細な解説をチェックしましょう。
音楽ファンの間でも意外と見落とされがちな盲点が存在します。それは、「コーヒールンバ」という邦題が冠されているものの、音楽理論的には純粋なルンバのリズムではないという事実です。
原曲の『モリエンド・カフェ』は、ベネズエラのリズムである「オリエンタル・ホロッポ」やソン、あるいはボレロに近いラテン・ダンスのリズムを基盤としています。日本に導入された1960年代初頭、ラテン音楽といえば「マンボ」か「ルンバ」という大衆的な記号化が行われていたため、商業的なキャッチーさを狙って「コーヒールンバ」と命名された経緯があります。この音楽的出自のギャップを逆手に取り、陽水版ではフラメンコギター風の鋭角なカッティングとルンバ・フラメンカの要素を巧みにブレンドし、よりオーガニックな響きへと再構築しています。
また、アコースティックギターを愛好するプレイヤーたちの間で「井上陽水コーヒールンバコード」の検索が絶えない点にも着目すべきです。キー設定は主にAm(イ短調)やEm(ホ短調)をベースに進行しますが、陽水のアレンジでは通常の三和音(トライアド)にとどまらず、セブンス(7th)やナインス(9th)のテンションノート、さらにはディミニッシュコードが随所にインサートされています。このテンションの緊張感が、哀愁のメロディにジャジーで洒脱な陰影を与え、弾き語り愛好家たちを虜にし続ける秘密となっています。