粘血便とは?便に混じる血とゼリー状粘液の正体・受診目安を徹底解説

粘血便とは?便に混じる血とゼリー状粘液の正体・受診目安を徹底解説の基礎知識と応用に迫る! 専門的な視点で紐解きます。

粘血便の原因となる病態は多岐にわたりますが、日本国内の臨床現場において鑑別診断の中心となる代表的な疾患は以下の5つに集約されます。

1. 潰瘍性大腸炎(指定難病97)

粘血便を主訴に来院した若年層から中年層において、最も頻繁に確定診断される代表格が大腸の慢性炎症性疾患である潰瘍性大腸炎です。厚生労働省の難病情報センターのデータによると、国内の患者数は22万人を超え、近年も増加傾向にあります。直腸から大腸の奥に向かって粘膜の炎症が連続的に広がり、表面に無数のびらんや潰瘍が形成されます。その結果、頻回の下痢とともに特徴的な粘血便が長期間にわたって続きます。

2. 大腸がん(特にS状結腸がん・直腸がん)

中高年以降において最も警戒すべき疾患が、粘血便と大腸がんの可能性です。国立がん研究センターの最新統計でも、大腸がんは日本国内の部位別がん罹患数で常に第1位、死亡数でも第2位に位置する国民病です。大腸の肛門に近い側(S状結腸や直腸)に進行がんが発生すると、便の通過時に腫瘍表面が擦れて出血し、腫瘍から分泌される壊死組織混じりの粘液と混ざり合って粘血便として排出されます。「痔の出血だと思い込んでいたが、内視鏡を入れたら直腸がんであった」という事例は、消化器診療の現場で後を絶ちません。

3. 感染性腸炎(細菌性赤痢・キャンピロバクター・病原性大腸菌など)

加熱不十分な鶏肉などを摂取した後に発症するカンピロバクター腸炎、サルモネラ腸炎、あるいは腸管出血性大腸菌(O-157など)に代表される感染性腸炎でも粘血便が突如出現します。病原菌が腸粘膜の細胞内に侵入・破壊し、急速な炎症を引き起こすため、38度を超える高熱と激しい腹痛を伴うのが典型的な特徴です。小児や高齢者では急速に脱水症状や溶血性尿毒症症候群(HUS)を併発するリスクがあるため、一刻を争う対応が求められます。

4. クローン病(指定難病96)

潰瘍性大腸炎と同じ炎症性腸疾患に分類されるクローン病も、全消化管に非連続的な炎症を引き起こし、病変が大腸に及ぶことで粘血便を伴う場合があります。潰瘍性大腸炎に比べると便の出血量は控えめな傾向がありますが、腹痛、体重減少、発熱、さらに肛門周囲の膿瘍や痔瘻(じろう)を初発症状として発覚するケースが目立ちます。

5. 虚血性大腸炎

高血圧、動脈硬化、あるいは頑固な便秘を持つ高齢者や女性に好発する急性疾患です。大腸へ血液を送る末梢血管の血流が一時的に遮断され、大腸粘膜が虚血状態に陥って壊死・剥離します。突然の左下腹部痛に襲われた直後、鮮血を多く含む下痢や粘血便が大量に排出されるのが典型的な臨床経過です。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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