精巣上体炎の激痛と腫れを放置すると不妊に?精巣捻転との違いと完治期間
精巣上体炎の激痛と腫れを放置すると不妊に?精巣捻転との違いと完治期間とはどのようなものなのか? 主要なファクトを簡潔に解説します。
陰嚢の異変に直面した男性がインターネット検索を行った際、しばしば目にするのが「市販の解熱鎮痛剤を飲み、保冷剤で冷やして寝ていたら痛みが引いた」という体験談です。しかし、専門医の立場から断言すれば、精巣上体炎が自然治癒することは絶対にありません。
痛みが一時的に和らぐのは、冷却によって局所の毛細血管が収縮し、神経伝導速度が鈍ったことによる一時的な麻痺にすぎません。組織の内部では細菌の増殖と組織破壊が休むことなく進行しています。「痛みが引いたから治った」と油断して放置を続けると、以下の重篤な不可逆的ダメージを被ることになります。
1. 精巣上体の線維化と男性不妊への影響
精巣上体は全長約6メートルもの微細な管が凝縮された器官です。炎症が慢性化すると、管の内壁が癒着して線維化(瘢痕化)を起こし、物理的に閉塞します。片側が閉塞しても反対側が健常であれば精液中に精子は出ますが、両側に炎症が及んだ場合や、過去の感染によってすでに片側の機能が落ちていた場合、精子が一切射出されない閉塞性無精子症に陥り、男性不妊の直接的な要因となります。
2. 精巣膿瘍の形成と精巣摘除のリスク
抗生物質による適切な除菌を行わずに放置すると、炎症巣が融解して陰嚢内にドロドロの膿がたまる「精巣膿瘍(のうよう)」を形成します。ここまで悪化すると点滴投与の抗生物質すら届かなくなり、陰嚢を切開して膿を排出する外科手術が必要になります。最悪の場合、組織全体が融解・壊死し、精巣そのものを外科的に摘除(睾丸の摘出)せざるを得なくなります。
3. 菌血症・敗血症による全身ショック
特に高齢者や糖尿病などの基礎疾患を抱える患者では、精巣上体の豊富な血管網から細菌が血液中に侵入し、菌血症から全身性の敗血症を引き起こす危険性があります。血圧低下、多臓器不全を併発すれば命に関わる事態へと直結します。「たかが睾丸の腫れ」と軽視する姿勢は生命の危機にすら結びつくのです。