『殺さない彼と死なない彼女』結末と小坂の死因|伏線と原作の違い

『殺さない彼と死なない彼女』結末と小坂の死因|伏線と原作の違いの特集記事をご紹介します。最新トレンドが詰まっています。

本作の脚本・監督を務めた小林啓一の手腕が最も光るのは、一見すると独立しているように見えた複数のエピソードが、1つの街・1つの時間軸の中で見事に収束していく伏線回収の美しさです。物語は主に以下の3組の高校生を中心に展開します。

  • 小坂れい × 鹿野なな:「殺す」が口癖の退屈男子と、「死にたい」と手首を切る孤立女子
  • キャピ子 × 地味子:愛されたいあまり誰とでも付き合ってしまう美少女・キャピ子(堀田真由)と、彼女を誰よりも厳しく深く守り続ける親友・地味子(恒松祐里)
  • 八千代くん × 君が代ちゃん:「好き」とストレートに告白し続ける猪突猛進女子・君が代ちゃん(箭内夢菜)と、あるトラウマから他者との関わりを拒む男子・八千代くん(ゆうたろう)

映画の前半では、それぞれの会話劇がオムニバス形式のように並行して描かれますが、背景をよく観察すると、小坂と鹿野が歩く通学路の後ろをキャピ子と地味子が通り過ぎ、君が代ちゃんが告白しているグラウンドの隅に小坂の姿が映り込むなど、空間的な繋がりが緻密に提示されています。

さらに物語の通底音として描かれるのが、不気味な気配を漂わせるサイコキラーくん(中尾暢樹)の存在や、冒頭で埋められたハチの死骸、そして登場人物たちが手にするスマートフォンに保存された動画や写真です。八千代くんが頑なに他者を拒んでいた理由が「大切な人を突然失う恐怖」であったことや、地味子がキャピ子に向ける無償の愛の純度が、小坂の死という圧倒的な喪失劇と共鳴し、すべてのピースが鮮やかに噛み合っていきます。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest