オランジュリー名画の闇と真実!ジャン・バルター・コレクションの全貌
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美術史において、これほどスキャンダラスな物語を背負ったコレクションは他にありません。1957年、実業家として絶頂期にあったジャン・ヴァルテールが、郊外のレストラン前で不審な交通事故に遭い命を落とします。現場にいたドメニカの不可解な行動や救急要請の遅れを巡り、パリの社交界には「事故を装った謀殺ではないか」という不穏な噂が駆け巡りました。
決定的な破滅の引き金となったのが、1958年から1959年にかけて発覚した「ラカーズ事件」です。夫ジャン・ヴァルテールの死後、ドメニカとその愛人(医師モーリス・ラクール)らは、ギヨームの遺産を保護するために養子縁組されていた長男ジャン=ピエール(通称ポロ)の暗殺を画策しました。暗殺計画は元パラシュート兵の密告により未遂に終わり、フランス主要紙が「大富豪未亡人による養子暗殺未遂」として連日一面で大々的に報道するスキャンダルへと発展しました。
逮捕の危機に直面したドメニカは、政界の有力コネクションを駆使しつつ、驚くべきカードを切ります。それが「国家へのコレクション寄贈(有利な条件での売却)」でした。当時、ド・ゴール政権下の初代文化相を務めていた作家アンドレ・マルローとの極秘交渉により、国家は名画群の国外散逸を防ぎ美術館に収蔵する見返りとして、捜査の手を事実上緩めたと語り継がれています。名画の美しさの裏側には、権力と司法、そして人間の剥き出しの欲望が交錯した生々しい司法取引が存在していたのです。