予言獣「件(くだん)」の正体とは?牛女との違いや都市伝説の真相
予言獣「件(くだん)」の正体とは?牛女との違いや都市伝説の真相に関する主要な事実を詳しくまとめました。専門的な情報をご確認ください。
件の記録は、江戸時代後期の瓦版(かわらばん)に数多く見出せます。文献上の初出とされるのは天保7年(1836年)、丹後国(現在の京都府北部)に現れた記録です。瓦版には「人面牛身の怪獣が現れ、大豊作の後に大飢饉が起きると予言した」と記され、センセーショナルに報じられました。
当時の人々にとって、件は恐怖の対象であると同時に救済のシンボルでもありました。瓦版には「件の絵姿を家に貼れば、疫病を逃れ家内安全を得られる」と書かれ、厄除けの護符としての需要が爆発したのです。その後、幕末から明治維新にかけての激動期にも、政変やコレラの流行を予言する件の瓦版が繰り返し発行されました。
この伝承は近代に入っても途絶えませんでした。特に注目すべきは昭和20年(1945年)前後の戦時下における流言です。神戸や西宮周辺で「件が生まれて『今年中に戦争が終わる』『米軍の空襲で焦土と化す』と予言した」という噂が市民の間を駆け巡りました。当時の警察資料や特別高等警察(特高)の記録にも、民心を動揺させる危険な流言蜚語として「くだんの噂」が厳重にマークされていた事実が残されています。