北朝鮮の国章になぜ巨大ダムが?白頭山と赤星に隠された歴史の深層

北朝鮮の国章になぜ巨大ダムが?白頭山と赤星に隠された歴史の深層について徹底解説いたします。専門家の見解をご覧ください。

北朝鮮の国章を注視すると、青空を背景に圧倒的な存在感を放つコンクリート堰堤から、勢いよく水煙を上げて放流するダムの威容が描かれている。手前には頑丈な鉄骨構造の高圧送電塔のモチーフが配され、電線が左右へと力強く張り巡らされている。この北朝鮮国章におけるダムの採用理由を紐解く鍵は、社会主義国家草創期における近代化の青写真にある。

描かれている建造物のモデルは、中朝国境を流れる鴨緑江(アムノッカン)に位置する水豊(スプン)ダムだ。ロシア革命の指導者レーニンはかつて「共産主義とは、ソビエト権力プラス全国の電化である」という有名なテーゼを掲げた。1940年代後半に誕生したばかりの若い共産主義政権にとって、豊富な電力を生み出す巨大ダムと電力網は、前近代的な農業国から脱却し、強大な社会主義工業国へと生まれ変わる未来そのものだった。

発電所から伸びる送電線は、単なる電力輸送インフラを越え、労働者階級の英知と国家の近代化動力を津々浦々へ届ける「革命の血管」として位置づけられた。農村の疲弊と戦乱に苦しんできた大衆に対し、目に見える重工業の力と豊かな未来を約束するプロパガンダとして、この水豊ダム以上の意匠は存在しなかった。

小林 直樹

小林 直樹

トレンドリサーチャー

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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