映画『幸せの隠れ場所』美談の嘘と裁判の真相|マイケル・オアーの告発

映画『幸せの隠れ場所』美談の嘘と裁判の真相|マイケル・オアーの告発の全体像を詳しく解説してご紹介します。

2023年8月14日、テネシー州シェルビー郡遺言検認裁判所に提出された14ページに及ぶ請願書は、全米のエンタメ界とスポーツ界を震撼させました。申し立てを行ったのは、映画の主人公であり、スーパーボウル制覇も経験した元NFLスター選手のマイケル・オアー本人です。告発の矛先は、映画で「救世主」として描かれたショーン・トゥーイとリー・アン・トゥーイの夫妻に向けられていました。

請願書に記された決定的な告発理由は大きく分けて2点あります。第1に、オアーはトゥーイ夫妻の法的養子になったことは一度もないという事実です。オアーが18歳を迎えた2004年、夫妻は彼に書類への署名を求めました。夫妻は「18歳を過ぎたため形式上は後見人手続きとなるが、実質的には養子縁組と全く同じ家族の証だ」と説明していたとされます。しかし、法的に成立していたのは養子縁組(Adoption)ではなく、成年後見人制度(Conservatorship)でした。

養子縁組であれば法的な親子関係が結ばれ、オアーは夫妻の遺産相続権などを実子と同等に得ることになります。一方の後見人制度は、重度の精神障害や認知症などで判断能力を欠く人物に代わり、後見人が財産管理や医療判断、契約締結を独占する制度です。法的に成人していたオアーは、この契約によって自身の名前や肖像権を使ったビジネス交渉権をすべてトゥーイ夫妻に委ねる形になっていたのです。

第2の告発理由は、映画『しあわせの隠れ場所』がもたらした巨額の利益配分をめぐる不正です。オアー側の申し立てによると、トゥーイ夫妻は映画化に伴い、夫妻自身と2人の実子(コリンズとSJ)の計4人に対して、それぞれ22万5,000ドルの前払金に加え、映画が上げた純利益の2.5%が恒久的に支払われる契約をハリウッドスタジオと結んでいました。その一方で、物語の中心人物であるオアー本人には、映画の純利益はおろか正規のライセンス料すら支払われていなかったと主張されています。オアー自身がこの法的な「罠」に気付いたのは、現役引退後のビジネス整理を進めていた2023年2月のことでした。

山本 拓海

山本 拓海

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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