犬のしこり「痛がらないから安心」は大誤解!見逃せない悪性のサイン
犬のしこり「痛がらないから安心」は大誤解!見逃せない悪性のサインに関する最新の話題を分かりやすく解説いたします。
しこりが発生する「部位」によっても、疑うべき疾患の緊急度は大きく異なります。特に見逃されやすく、かつ命に直結しやすいのが「首まわり」と「乳腺部」です。
首のしこり:悪性リンパ腫と甲状腺癌の潜伏リスク
顎の下や首の付け根、のど仏の周辺を撫でているときに、大豆からウズラの卵ほどの大きさのグリグリとしたしこりに触れることがあります。この部位に生じるしこりで最も警戒すべきは、下顎リンパ節の腫れです。全身のリンパ節ががん化する多中心型悪性リンパ腫の初期症状では、発熱も食欲低下も痛みも一切なく、ただ首の下のリンパ節だけが硬く腫れ上がるという特徴があります。
犬自身は至って元気で散歩も元気にこなすため、「首輪が当たって少し腫れているだけだろう」と数週間放置されがちです。しかし、悪性リンパ腫は進行が非常に早く、未治療のままであれば診断から約1〜2ヶ月で死に至るケースも稀ではありません。また、首の深い部分にできる甲状腺癌なども、初期は無症状かつ無痛のまま大きくなっていきます。
乳腺のしこり:未避妊メス犬に忍び寄る「50%の確率」
お腹側、胸から下腹部にかけて左右に並ぶ乳首の周辺にできる米粒〜小豆大のしこりは、乳腺腫瘍の代表的なサインです。初発時は皮膚の下に小さなBB弾が埋まっているような感触で、母犬が痛がるそぶりを見せることはまずありません。
日本獣医がん学会などの臨床知見において、犬の乳腺腫瘍には有名な「50-50ルール」が存在します。すなわち、犬の乳腺腫瘍の約50%は悪性(乳がん)であり、さらにその悪性のうちの約50%が他の臓器やリンパ節に遠隔転移を起こすというものです。初期の米粒大の段階で発見し外科的に切除できれば完治が期待できますが、「痛がらないから」と様子を見ているうちに2cm、3cmと急激に肥大化すると、悪性度と転移リスクが跳ね上がります。