有楽町で逢いましょう誕生秘話|フランク永井の低音とそごう開店の真相
有楽町で逢いましょう誕生秘話|フランク永井の低音とそごう開店の真相の全体像を分かりやすくまとめてご紹介します。
本作の爆発的ヒットを決定づけた最大の立役者は、フランク永井の規格外のボーカルです。宮城県出身のフランク永井(本名:永井清人)は、進駐軍のクラブでジャズを歌いながら喉を磨いていました。当時の流行歌手の主流であった高音の美声とは対照的な、深みのあるバリトン・ボイスは、作曲家・吉田正との出会いによって真価を発揮します。
吉田正は、フランク永井の歌声を「日本人が持っていなかった都会的な哀愁と甘さを同時に表現できる唯一無二の楽器」と高く評価しました。佐伯孝夫の手による、雨の降る街角、ネオンの瞬き、デパートのカフェテラスを舞台にした都会的な歌詞世界に対し、吉田はジャズやブルースの洗練された和声を巧みに融合。日本の伝統的なヨナ抜き音階を脱色したメロディーラインを構築しました。
フランク永井の代名詞となった「魅惑の低音」は、戦後の傷跡から立ち直り、新たな近代都市へと脱皮しようとしていた東京の空気感と驚くほど合致しました。単に低いだけでなく、温もりと繊細なビブラートを宿した低音は、過密な都市で孤独を抱える大人たちの心を包み込み、日本に「ムード歌謡」という新ジャンルを切り拓く決定打となったのです。