うつ病の嘘を見抜く精神医学の最前線!怠惰と詐病を分ける境界
今注目を集めている うつ病の嘘を見抜く精神医学の最前線!怠惰と詐病を分ける境界について、主要な情報をご紹介しています。
臨床の現場において、精神医学は「疑うこと」からスタートする学問ではない。しかし、米国精神医学会の診断基準であるDSM-5-TR、そして世界保健機関(WHO)の国際疾病分類第11版(ICD-11)の双方が、意図的な症状捏造に対して明確な警戒ラインを設けている。
DSM-5-TRにおけるうつ病(大うつ病性障害)の診断は、抑うつ気分や興味・喜びの喪失など9つの基準のうち5つ以上が2週間以上持続することを求める。対して、詐病(Malingering)は精神疾患そのものではなく、「明白な外的利益(経済的補償、兵役や法的責任の回避、過酷な労務からの逃避)を目的として、意図的に偽りの、あるいは誇張された身体的・心理的症状を作り出すこと」と定義されている。
ICD-11のフレームワークでも同様に、客観的な所見と自己申告の間に生じる著しい乖離が分析対象となる。医療ジャーナリズムの視点から言えば、現代の休職制度や傷病手当金といったセーフティネットの充実が、逆説的に「詐病」を選択する動機を強化している側面は否定できない。診断基準を巧妙になぞって症状を訴える患者に対し、精神科医は教科書的な問診以上の観察眼を要求されている。