なぜ下がる?オートマ車の坂道発進で後退する原因と安全な発進術
なぜ下がる?オートマ車の坂道発進で後退する原因と安全な発進術についての最新情報をお届けします。
教習現場やロードサービス各社の取材現場からは、坂道発進にまつわる数多くの切実な証言が寄せられています。大手自動車連盟(JAF)に寄せられる相談やネット上のコミュニティ(SNS・知恵袋)では、特に商業施設の急な立体駐車場スロープでの合流待ちや、観光地の山岳路におけるヒヤリハット事案が際立ちます。
「休日の大型ショッピングモールで発進しようとした際、同乗者4人と荷物を満載していたため想像以上に車体が後ろへ下がり、後ろのクラクションで心臓が止まるかと思った」(30代普通車ドライバー)
「軽自動車に乗り換えたばかりの頃、前の普通車と同じ感覚でアクセルを踏んだら坂道でズリズリと後退し、パニックになってブレーキを底まで踏み直した」(20代ドライバー)
指定自動車教習所の元指導員によると、教習現場では次のような実態が浮き彫りになっています。
「技能教習において、MT車であればクラッチ操作の失敗による後退を教習生自身が警戒しますが、AT車では『ブレーキを離せば勝手に進む』と油断する教習生が圧倒的多数を占めます。教習コースの勾配発進地点でフットブレーキからアクセルへの踏み替えが遅れ、わずか20〜30センチメートル下がっただけでパニックになり、アクセルペダルを床まで蹴り込んで脱輪やポール衝突寸前になる事例が日常的に見受けられます。車輪が一度逆回転を始めると、前進させるためには平地以上のトラクションが必要になるという力学を感覚として理解していないドライバーが非常に多いのです」
こうしたパニック挙動は、後続車との距離が詰まっている状況下で坂道発進後退による追突事故防止を著しく困難にします。追突事故は通常「後続車の過失割合100%」とされるケースが大半ですが、先行車が発進時に後退して追突した場合は、道路交通法第70条(安全運転管理者等の義務・安全運転の義務)違反として前走車側の過失割合が大幅に加算される(過失割合30〜50%、場合によってはそれ以上)判例も存在します。決して「後ろが車間を空けていないから悪い」では済まされない現実があります。